櫛田の医療最前線

チーム医療最前線

Two japanese doctors discussing MRI scans病院を1つの枠として捉えたとき、その中心にいるのは患者です。そのまわりに医師や看護師、栄養士、理学療法士、作業療法士などの多数の専門スタッフがいて、治療とその介助を行っています。専門スタッフの中で医師と同じくらい患者と近い位置にいるのが看護師。看護師の役割や働きかけ次第でチーム医療の質が大きく変わるといっても過言ではありません。

看護師が最初にすべきなのはアナムネーゼ(入院歴や病歴)をていねいにとること。当たり前のことだと思われがちですが、ここで必要な情報をそろえておかないとチーム医療はうまく進みません。入院時の早い段階から患者のキャラクター、家族構成、自宅の構造、介護者や協力者の負担など、患者の退院後の生活をイメージして聴取しておくことは、スムーズな退院のためにも大切になってきます。

アナムネーゼの聴取が終わったら、医師との情報共有を行います。ふだん医師は外来、検査、処置など忙しく業務をこなしています。看護師が事前に検査データやアナムネーゼの内容などからアセスメント(看護上の問題点を評価すること)を行っておくと、より効率的な情報共有が可能になります。その後、必要となる専門スタッフに介入を依頼します。看護師がいかに早く働きかけるかによって、患者に提供できるケアの内容が変わってきます。もっとも大事なのは、看護師だけで情報を抱えずに全スタッフで情報共有すること。専門スタッフそれぞれと患者に合ったケア方法を考えていくことで、質の高い医療が提供できるようになります。

こういったチーム医療を学生時代から学べる専門学校があります。それが名古屋医専の高度専門士看護学科です。複合的な学科編成になっているこちらの専門学校にはさまざまな専門教官が在籍しており、他職種連携についてそれぞれの教官から指導を受けられます。専門学校で学んでおけば、実際の現場でもうまく情報共有ができることでしょう。

もちろん、スタッフがどれだけ患者のためにと思ってケアを行っていても、状況が好転していると患者自身が感じられなければ不安や不信感のもとになってしまいます。治療の主体は患者です。患者に状況を説明し、どんな目的でケアを行っているか理解してもらうことで安心してチーム医療を受けられます。闘病中の苦痛や不安をチームで共有し、同じ方向を向いていることを患者にしっかりと伝えましょう。