櫛田の医療最前線

甲状腺がんの症状と治療

内分泌器

甲状腺は首の前面、のど仏の下側の気管を覆う位置にある器官です。新陳代謝を促す甲状腺ホルモンを生成・分泌する働きがあります。甲状腺がんの原因ははっきりしませんが、遺伝的要素やヨード(ヨウ素)の過剰摂取だと言われています。
男性よりも女性に多く発症し、特に女性は30~40代という比較的若いうちからの発症が見られます。

甲状腺がんの治療症状のうち、症状としては初期症状はほとんどありません。甲状腺の一部に豆粒状のこぶやしこりのようなものが出来ますが、これは痛みも無いので見逃すケースもあります。癌が進行してくると声帯の運動を支配している半回神経を浸食し声がかすれてきます。また食道へ進行すると息苦しさや食物の飲み込みにくさ等の症状が出てきます。
治療では甲状腺がんは進行が緩やかなため経過観察で様子を見るケースもあります。甲状腺がん特有の治療としてはアイトソープ治療があります。これは甲状腺の細胞にのみ摂りこまれる特徴があるヨードに、放射性同位元素を付着された物を内服してもらい、癌を選択的に治療する方法です。

他には抗がん剤を投与する化学療法・患部へ放射線を当てる放射線療法・患部を一部又は全部を切除する手術療法があります。手術で甲状腺を全部切除した患者さんへは、生涯甲状腺ホルモンの投与が必要になります。