癌に対する手術治療は、多くの病院で標準治療となっていますが、幾つか注意すべきこともあります。
外科手術を行うことで、すぐに回復して元気になるということは通例ありません。癌が腸閉そくなどの症状の原因になっているときには、取り除く手術を行うことによって症状は改善します。しかし、多くの場合では、周りの正常な臓器なども部分的にではありますが一緒に切り取ることになります。癌が発生している周囲の細胞の周りに病気のもとが散らばってしまう場合や、リンパ節に転移している疑いがあるためです。そのため、手術を行った後には、「手術による身体への負担と臓器の一部を失ったための症状が一定の間続き、その後に残った臓器が失った分の臓器の機能を埋め合わせて元に近い状態になる」ことによって、回復したといえる状態になるのです。
また、合併症にも気をつけなくてはなりません。たとえば、大腸を切除した場合、約1.5%の確率で縫い合わせた部分がほころんでしまい腹膜炎を生じる縫合不全が起こります。外科手術の技術が発展した現在でも完全に防ぐことはできていません。糖尿病などの持病がある場合に影響を与えることもあります。
手術を行った場合に今の自分の状態と合わせてどうなるかや合併症などを考えてみて、実行するか否かを考えることが大切になります。