痔ろうは細菌によって体内で炎症を起こした部分が沈静化するにしたがって膿を持ってしまった場合に、体内の膿を排出するように自然に瘻管と呼ばれるトンネルができることです。肛門の付近に排出するための穴ができることから蓮痔、穴痔とも呼ばれます。このトンネルは自然に治ることはなく、外科的手術が必要となります。放置すると同じ炎症を起こしやすく、瘻管が他の場所へ枝分かれしてしまうなど、悪化する恐れもあるため適正な治療を行う必要があります。肛門の深層部や直腸にできてしまった場合は重症化し、放置すると癌の要因となる恐れもあるため早急な手術が必要になります。
痔ろうかどうかの検査は問診・触診・鏡による目視確認を行い、必要に応じてMRIや超音波を使用して瘻管と病巣の確認を行います。瘻管の確認が出来た場合は、探針(ゾンデ)と呼ばれる金属の細い棒を穴に挿入し、深さを測りますが、これは麻酔科で行います。手術の方法は3通りあり、瘻管切開開放術、肛門括約筋温存手術(くりぬき法)、ゴム輪で徐々に締め上げて緩やかに異物の排出と組織再生を促すシートン法があります。患部の状態によって手術法は異なり、まれに患部の特定が難しいなどの理由から対処療法で手術を行わないということもあります。早めの受診が勧められています。